ありすがわにしきうまで

有栖川錦馬手

錦は、二色以上の色糸で文様を織り出した裂をいう。本品は経と地緯は濃い蘇芳で、絵緯は白、濃紺、水浅葱、萌黄、黄、蘇芳の六色である。八角形と八角形の一辺を辺とする正方形を互いの目に連続させた幾何学形の文を基本とし、八角形の中に走馬を織り出す。有栖川の意匠はバラエティーに富み、特に、雲龍文、鹿文、鳳凰文、走馬文が有名である。松皮菱を繋いだような文様構成は西アジアのカーペットのデザインを思わせるようなところがあり、西方と中国のデザインが混合したユニークな意匠となっている。
錦は数色の色糸を使って多彩な文様を織り出し、地緯はかなり太細があるので、紬風のざんぐりした風合いが特徴である。仕覆や表具の裂としては厚みがあり、柔らかさに欠けるせいか、名物裂にはあまりたくさん見られない。
名称の由来は元有栖川宮家に所蔵されていたのに因んでといわれるが、詳らかではない。(本歌・京都国立博物館)