織物から子どもたちの笑顔へ


「イラン」と聞いて、皆さんはどんなことを思い出されますか?

このサイトに掲載されています写真は、6月の混乱の真っ最中にあるイランで撮影したものばかりです。

ペルシャ帝国と聞けば、「あー・・・」と記憶と写真が結びつくでしょう。

さて、なぜこの写真なのですか?一枚の織物から始まり子どもたちの笑顔まで続く、不思議なストーリーのはじまりです。

今回の展覧会のための旅の目的を理解していただくのに、まずは「イラン」という国の歴史的な背景を含め素晴らしい世界遺産の数々をご覧ください。

ペネセポリスの遺跡  
 
 
2500年前に西はエジプトから東はインドまで
絶大な権力を誇った大帝国
 
かつて「イスファーンは世界の半分」とも語られら、イマール広場。
確かに壮大で美しい。

 


このテントが日ごろ生活している家。


部族の女性とみんなで記念写真
カメラが珍しいようです。
 

さて、場所は移って土漠地帯。(土一面の砂漠みたいな地帯は「どばくちたい」だそうです。)

イランの遊牧民族、今回はカシュガイ族に合いに行きました。
我が家では毎日なんとなく見ていた一枚の織物。
子どもたちは毎日その織物の上に集まり、遊んでいます。
その織物が、カシュガイ族が大自然の中で織っているギャッベなのです。

シラーズという都市の中心地から車で約3時間の道のり(静岡、長野間くらでしょうか)で大自然の荒野に到着しました。

羊の放牧をしながら生計をたて、季節ごとに大移動しながら暮らしている部族です。
女性は家事の合間に絨毯を織り、貴重な現金収入を得て家計を助けています。
大自然の中での放牧、糸作り、ギャッベを織っています。

糸をつむぎ、機にかかっているギャッベを織らせていただきましたが、ゆったりとした自然の中で織っていると時がたつのも忘れ、自然との一体感さえ感じました。


   
糸作りは毎日の仕事。
根気が大切だそうです。
 
羊にあわせての移動が多いので、
織り機もうまくできています。
 
間違えても、笑顔で何度も
教えてくれました。


ギャッベに使う糸を染めるときは
非常に高温で糸を煮ます。



釜に近づいたときに、
高温に熱せられた染料が飛び出し
危うくヤケドをしそうになりました。
 

大自然の中で織りあがる「ギャッベ」ですが、羊の世話、糸つむぎ、織りの工程はカシュガイ族の仕事ですが、染色、仕上げの洗いと乾燥などは「ゾランヴァリ社」の工場で行われます。

ゾランヴァリ社は、遊牧民の織物では世界的に非常にトップレベルの品質で有名な会社です。
糸は手つむぎの糸しか使わず、染色はすべて自然染料しか使わないという品質重視。自然な風合いの秘密は、こだわりからのもののようです。
子どもたちが当たり前のようにギャッベの上に座るのは、きっと素材から自然を感じ取るからなのでしょう。

ところがここで働く方の多くはアフガニスタンを母国とする方が多いのです。
絨毯制作のなかでも、いわゆる「3K」といわれる仕事はイラン国内では就職したがらないそうです。

確かに染色工場では、羊毛を自然染料で染めるため高温に熱せられた釜の近くで非常に危険な仕事ですし、洗ったあとの水をたっぷりと含んだ大きく重たい絨毯を脱水し、屋外に干し、毛並みをそろえながら整理するのはとても大変な仕事でした。
ちなみにこの日は外に立っているだけで日差しが肌にヒリヒリ痛くなるくらいでした。


 
イランは意外にも、地下水が豊富で洗う水には困りません。
絨毯の織った目に沿って洗うので、
均一の力で均等に洗っていくのは非常に重労働です。
 
脱水した後の絨毯は、大人二人でもかなり重たかったです。
ここでギャッベの目をそろえないと色がきれいにでないそうです。
日差しの中でも大切な作業なので
かなりの時間丁寧に作業されていました。

 
イランでは6月〜9月にかけて雨が全く降らないそうです。
小さいもので2〜3日干すそうです。
 
最終工程、ギャッベの四方を釘で引っ張りながら打ち、
形をなるべく均一な四角形にします。
一日中座りながらの作業は腰を痛めるそうです。


  アーとライフへの誘い 紺文トップページへ
  ご意見・ご質問等は kimono@konbun.co.jp までどうぞ